THE SHE magazine
ツナギの彼女

装うことは、自分らしく生きること。
前回の「4月の彼女」に続き、タイトルは「新緑の彼女」や「五月雨の彼女」がいいなと先回りして妄想していたが、2025年5月に感じる”今の気分”をストレートに反映したら、あっさりと「ツナギの彼女」へ趣旨が移行。THE SHEにとっては制服のような存在であるアイテムをピックアップすることにした。
思い返せば、目の前を白い息が遮る真冬。バイイングを担当しているSACHIから「これ、かわいい。KAORI、絶対好き」、「THE SHEらしいと思うけど、どう?」と次々と送られてくる春夏のアイテムがほぼツナギだった。永遠に好きなものであることは間違いないが、特に今、欲しいよね、買い足したいよねと意見が合致。春はロンTを着込んで夏は涼しい素材を選び、上衣を脱ぎ袖を腰に巻いたりしながら秋までツナギで繋ぐ。背中が凍るギャグを交えながらも、無論、本気だ。
ツナギを愛する理由を考えてみた。ワンピース代わりに選ぶ自分が好き、作業着をファッションに取り入れる自分が好き、汚れを気にせず地面に座ったり大股で歩く自分が好き。そう、なぜだかツナギは着る自分を肯定できるアイテムなのだ。私らしさを全開にできる、どうやらそれが1番の理由らしい。(外出中にトイレに行けば、家の外なのにほぼ全裸になる自分が笑えるもこっそり追加)
今年でTHE SHEは5周年。新しい試みとして「THE SHE LABO」と名づけた拠点を構えることにした。場所は世田谷区は池尻、旧池尻中学校をリノベーションしてオープンするHOME/WORK VILLAGEの3階。今回はこの場所を撮影場所に選んだ。
清いネイビーに白ステッチ、正装気分で着るツナギ

〈スケイプス ボスマン〉らしい白のステッチ使いが効いた、上質なコットンツイル素材のジャンプスーツはTHE SHEだけのエクスクルーシブ。オーバーサイズでフォルムはとびきりカジュアルだが、素材とディテールのおかげで品よく着られる。潔く1枚で着るのがおすすめだ。THE SHE5周年記念の限定コラボバッグを斜めがけして、美しいネイビーを重ねて。
ジャンプスーツ¥158,950〈スケイプス ボスマン〉
〈スケイプス ボスマン〉×THE SHE限定コラボミニバッグ¥13,200〈スケイプス ボスマン〉
ソックス、ローファー/THE SHE私物
老舗ブランドのボイラースーツを今こそ、街で

1898年創業の英国ブランド〈ヤーモ〉はツナギ好きにはお馴染みの存在。作業着を変にアレンジしすぎず、そのまま生かしたツナギは目の肥えた本物思考のスタイリストたちにも人気。20年近く着込み、いい具合に色褪せたツナギを着る先輩がいるが、いつ見ても本当に素敵だ。このジャンプスーツも、イギリスの煙突掃除用ユニフォームを忠実に再現したボイラースーツと呼ばれる逸品。着こなしやすい薄手の生地をセレクト。
スニーカー/THE SHE私物
上衣を腰に巻きつける日はレイヤードを楽しむ

基本的には1枚ですっきりと着たい〈ヤーモ〉のボイラースーツだが、暑くなってきたから上衣部分を脱ぐのではなく、たまには朝からパンツとしてスタイリングするのも楽しい。極上の着心地で柔らかく薄い〈ベースレンジ〉のカットソーを合わせ、結び目デザインがかわいいショートジレを重ね、フロントに少しボリュームを出した。
ジャンプスーツ¥63,800〈ヤーモ〉
ショートジレ¥40,700〈エレフ〉
ロングスリーブTシャツ¥18,150〈ベースレンジ〉
Tシャツ〈ベースレンジ〉入荷予定
ソックス、スニーカー/THE SHE私物
端正なのに愛らしい〈ヤーモ〉のサロペット


ともすると野暮ったかったり、脳内に牧場がちらつくツナギといえばサロペットだが、〈ヤーモ〉の手にかかればその懸念すらかわいさに変えてしまう。英国の漁師が着るフィッシャーマンオールインワンを着想源に、無駄を削ぎ落として普段着にした1枚は、言わば胸下まであるボリューミィなワイドパンツ。いつものボトムの延長線上で着こなせるのが嬉しい。ぎゅっとギャザーを寄せたストラップ下のディテールが後ろ姿のちょっとしたポイントにもなる。
中に着たロングスリーブTシャツ¥18,150〈ベースレンジ〉
フードと刺繍が魅力、リゾートドレス気分のツナギ

ロンドンのカムデンマーケット近くにあるカフェの名前が由来という、ブランド名から小粋な〈レイヤーズ〉。大きなフードつきで胸元にはエキゾチックな刺繍があり、素肌に着て気持ちいい薄手のコットンのツナギはまるでリゾートドレスのよう。あまりに涼しくて、コーディネートを考えずともさまになるから、気がつけばこればかり着ている夏があまりにも鮮明に予想できてしまう。
中に着たロングスリーブTシャツ¥22,770〈ベースレンジ〉
ソックス、スニーカー/THE SHE私物
夏を待たずに大人気、涼しい透け感コットン素材

同じフォルムとデザインで、色とフロントの刺繍を変えた〈マハル〉のジャンプスーツ。ドローストリングのウエスト部分までしっかりと開く胸元のデザインはインナーとの色合わせを楽しくもするし、涼しさももたらす。ベージュのツナギ以外のアイテムをすべて黒でまとめればモダンに仕上がり、街に馴染む。
ジャンプスーツ¥26,400〈マハル〉*現在soldout
中に着たロングスリーブTシャツ¥18,150〈ベースレンジ〉
ネックレス、ソックス、ローファー/THE SHE私物
モノトーンな配色と素材でドレスアップする

シックにデザインされたツナギはあまり選ばない主義。ただ、着こなし次第でいつもより少しキレイめに仕上がるのは大歓迎。このニュアンスを分かってくれているのが、この〈レイヤーズ〉のジャンプスーツ。裾にローコードが付いたラフなシルエットながら、光沢感のある黒のナイロン素材だからカジュアルになりすぎない。可憐な小花を散らした透けるフーディを重ねて美しく着る。
ネックレス/THE SHE私物
Photo: Takuya Nagata(W) Hair & Make-up: Takae Kamikawa(mod’s hair) Model: Hina Mishima(TOMORROW TOKYO) Styling: SACHI(THE SHE)) Direction&Text: KAORI(THE SHE, FW)


