THE SHE magazine
次なるトレンド「クワイエット ラグジュアリー」ってなに?
「クワイエット ラグジュアリー」という言葉をご存知ですか? ここ半年ほどの間に幾度となく耳にし、話題になり、私は実際に原稿もたくさん書いてきました。今、じわじわと広がり、次の春夏シーズンも間違いなくトレンドとなるこの言葉について、THE SHE magazineらしく紹介してみたいと思います。
クワイエット ラグジュアリーを直訳すると、控えめな贅沢。ファッション脈で説明すると、分かりやすいロゴや派手なデザインや色を避けた、上質で着心地がよい、シンプルなスタイリングを指します。言わば、一時期、よく耳にしたトレンド”着映え”の反対語ですね。色は白、黒、グレー、ネイビーといった基本色が主流で、差し色は禁止。
とはいえ、以前に流行った「ノームコア」とは似て非なるもの。ノームコアは、ちょっとその辺へのお出かけ、スーパーに行くようなナチュラルな格好こそ素敵よね!というナチュラルなものであったことに対し、クワイエット ラグジュアリーは丁寧に作り込まれたシンプルルックを指します。アイテムはシャツやジャケット、ニットなど親しみやすいものばかりだけれども上質で、サイズやデザインはモダン。自己肯定がしっかりできる大人の女性だからこそ、洋服はシンプルでも充分美しい、そんなイメージです。ヘアメイクもナチュラルではあるけれど、肌はきれいに整えて、ポイントメイクを楽しむ感じ。
先日、2024年春夏シーズンのパリコレクションを取材しにいった時も、集結したセレブリティやスタイリスト、バイヤーなどいわゆる”おしゃれ上級者”は、皆、クワイエット ラグジュアリー路線でした。これまでは華美に着飾った人たちが溢れていたけれど、今シーズンに至ってはスナップされない、目立たない人こそおしゃれの証。決して分かりやすいトレンドではないから、自分にとってラグジュアリーとは?と自問自答を繰り返したりも……。
そんな次なるトレンドの目線から、THE SHEのWEB STOREを改めて観察。おすすめのアイテムがたくさんあったので、早速、紹介していきます。
ネイビーはTHE SHEの基本色であるがゆえ、アイテム問わずに品よく長く使えるものが揃っています。シンプルなワントーン、かしこまりすぎずちょいカジュアルに表現するならこんな感じ。適度にボリュームがあってリラックス感があるスタイルの方がよりクワイエット ラグジュアリーな着こなしになると、個人的には考えています。
<エクストリーム カシミア>ニット
<k3&co.>ルーズフィット カーゴパンツ
黒×ネイビーという境目がつきにくい2トンカラーもよき! <RENATA BRENHA>のコートは端正な黒だけれど、オーバーサイズであること、そしてウエストをぎゅっと絞ってあったり、袖が大きく膨らんだりとディテールでモダンに仕上げていることがポイント。<ELEPH>のパンツも決して主張するわけではないけれどサルエル風のフォルムが楽しくて、紐リボンもいいアクセントになっている。ただのシンプルではないけれど、控えめ。その匙加減が絶妙だと思うんです。
そしてもちろんのこと、<extreme cashmere>はクワイエット ラグジュアリーの宝庫であります! 1枚でラクしてこのトレンドに乗りたい日は迷わず、ハイゲージドレス。見てください、この上品な地味さ!←褒め言葉です。膨らまずにストンと縦に落ちるシルエット、野暮ったさと品の良さのギリギリを攻める丈感、肘をそっと隠す袖。計算し尽くされた完璧すぎる地味(2度目)をぜひ楽しんでほしいです。
やっと寒くなったのでレイヤードを楽しみたいなと思った時、クワイエット ラグジュアリー目線で買い足すなら、レギンス感覚で穿けるスキニーパンツ、RHYTHM。スキニーといえど、カシミアなので無論締め付けることはなく、ひたすら心地よく温かい。ビッグサイズのネイビーニット×スリップドレス×ネイビーのRHYTHMもいいし、白い靴下と白のRHYTHMを重ねるのもいい。
ベージュトーンのニットでまとめた、柔らかい色合いのクワイエット ラグジュアリーも気になります。こちらの着こなしも定番アイテムながら、ボリュームがあったり、スリットが入っていたりとディテール使いがさりげなく効いています。この<BIELO>のパンツに手持ちの白シャツ合わせるのもおすすめ。手にするバッグももちろん同系色で! <COMING OF AGE>はプリントだけれど、気をてらわないチェック柄というところがポイントです。柄物ならストライプやチェック、ボーダーなどこれまた親しみやすさがあるものを選ぶとよさそう。
まとめてみるとTHE SHE的クワイエット ラグジュアリーは控えめで上品、長く愛用できる高品質、そして無理せず気楽に自分らしく装えることを指すと考えます。冬が深まるにつれ、そして春に向かってさらにこのトレンドの流れは広がっていきそう。その変化と共に、考察コラムも更新します!
Text : Kaori Watanabe