THE SHE magazine NEW BOOKS!!
BOOKSに仲間入り。『ELEY KISHIMOTO』記録本
THE SHE magazineのBOOKSカテゴリーに新しい仲間が増えた。
<イーリー・キシモト>というブランドをご存じだろうか。1992年にマーク・イーリーと岸本若子がロンドンで設立したテキスタイルデザイン会社で、<アレキサンダー マックイーン>や<ジル サンダー>、<ルイ・ヴィトン>までさまざまなブランドにプリント柄を提供。1996年からは自身のブランドの服や小物を発売してファッションデザイナーとしても活躍する一方、インテリア用品から車まで、異業種とのコラボレーションも多岐に渡る。
プリントの絵柄でピンとくる方も多いのではないだろうか。「服は流行りすたりがあるけれど、柄は永遠」というデザイナーの言葉の通りに、長くロンドンのカルチャーを愛し、実際にそこで暮らし、今なお勝手に第二の故郷だと思っている私にとっても、あまりにも思い出深いテキスタイルがたくさん。特に好きなのは、本書の表紙にもなっているアイコニックなフラッシュ柄。スカートやスニーカー、バックパックにガラスコップなどを長く愛用していたし、今でもインテリア雑貨で登場したら絶対に欲しい。
本書は2001年から2016年の間にロンドン在住でブランドのハウスフォトグラファーとして撮影した斉藤久美さんのショーやイベントの記録、ルックブックのための物撮りに加え、雑誌のために撮影したテキスタイルやポートレートなどを収録。特に、2016年に撮影した閉鎖直前のアトリエの写真はブランドのクリエイションの現場に触れる貴重なアーカイブだ。手書きによる柄のデザインやシルクスクリーンの整備を備えての生地のプリントやサンプルの縫製まで、手仕事を大切に、アナログなものづくりを貫いた様子が感じられる。
ブランドのファンはもちろんのこと、ロンドンのファッションやカルチャーが好きな人、一世を風靡した愛らしいプリントからインスピレーションを得たい人も、必見!
Text : Kaori Watanabe<FW>