EXTREME CASHMERE
出合って、目覚めた。
「カシミア Tシャツ」というアイテム
オランダ発のニットブランド<エクストリーム カシミア>を買い付けるにあたり、私たち、THE SHEの2人の心を捉えたことが2つある。1つ目は、全アイテムがワンサイズで、自分のサイズに合わせて、デニムのようにニットをハサミでチョキチョキと切っていいという提案。この、ありそうでなかった、ニットの自由な概念が気に入った。そして2つ目がカシミア素材のTシャツを作っているということ。今回は、この2つ目について書きたいと思う。
もちろん素材はカシミアだから、厳密に言うとTシャツではなくて半袖ニットなのだが、ストンとしたプレーンな形やヒップや太ももが絶妙に隠れる丈感、首元のリブや切りっぱなしの袖と裾というディテールにいたるまでが、夏に着ていたメンズTシャツそのものなのだ。素材がカシミアになっただけで、Tシャツをそのまま冬も着続けられる、そんなイメージだろうか。これが、思った以上に心地よくて新鮮。THE SHEのECショップ用に買い付ける前の昨年の冬、プロデューサーのサチが一足先に購入して、ほぼほぼ毎日、着ていた。最初に聞いたときは半袖のニットなんて、日本の気候に合わない。湿気のない夏があり、秋の訪れが早いヨーロッパの気候に適したアイテムで、自分とは無縁だと思っていた。しかし、サチが毎日、着ている。着倒している。聞けば、温暖な秋の初めは1枚で温かく、冬が始まればコートをさっと羽織ればちょうどいい。そして真冬も、室内でのぼせず、暑くならず、快適に過ごせるのがこのカシミアTシャツのいいところだという。ブルーデニムの上に1枚で、柄ワンピースに重ねて、ロンTの上からと、とにかく、サチに会うたびに着ているのを目にしていたが、ボリュームのあるニットの下に着込んで、裾だけが外に出ていたのを確認したところで、なるほど、これは「Tシャツ」だ! と腹落ちした。
遅ればせながら、2020年冬。待ちに待った入荷と同時に、私もTHE SHEのECサイトから、身銭を切って買った。まず、分厚すぎず、薄すぎずのさらりとしたカシミアの生地感が気持ちいい。そしてカシミアなので、当然のことながらものすごく温かい。お腹とお尻が温かいと半袖でも寒くないし、確かに室内が快適だ。外は寒いのに、滑り込みで打ち合わせの席に着いたらば、ニットが暑すぎて季節外れに汗だくになるという恥ずかしさとも、これで無縁(私だけ?)。最近は柄の長袖ドレスの上から重ねて、スニーカーを履くと少し90’sのストリートっぽくスタイリングできるところが気に入っている。深夜までパソコンの前で原稿を書く日は、下はスウェットパンツ。ある日、力尽きてそのまま風呂にも入らずに着たきりスズメでベッドに入潜り込んだところ、すべすべのシーツと羽毛布団の間でミルフィーユされた「カシミアTシャツ」がものすごく気持ちよくてはまってしまった。外出時でも、リビングのソファの上でも。仕事中も、リラックスタイムも。寝ても冷めても(私だけ?)。いつ何時とも、最高に心地よい。
というわけで、THE SHEのスタンダードアイテムとして、末長く取り扱っていきたいこのアイテム、実際に買ってくださった方たちからのリピート買いが多いのも特徴で、今は白とベージュが数枚、残っているだけであとは早々に完売した。多くのラブコールを受け、11月末にはブルーやカーキ、ライトピンク、ライトブルーという新色の追加とネイビー、ライトグレーの再入荷を予定している。どうかこの「カシミアTシャツ」のかわいさと心地よさを、ここ、日本で、日々のおしゃれに取り入れてみてほしい。
Text : Kaori Watanabe