KkCo
日本初上陸のL.A.ブランド、KkCo×THE SHE.
コラボに込める意味とは。
2020年6月1日、コロナによる自粛生活を経て、満を持して、とは言い切れないけれど、たくさんの人たちの協力のもと、THE SHEは無事にオープンを迎えた。紹介したいアイテムはたくさんあるが、まずひとつめとして、KkCo(ケーコー)という日本初上陸ブランドをここにお披露目できることはとても嬉しく、そして意味のあることだと思っている。
少し長くなるけれど、その理由をぜひ、お暇な時にお茶でも飲みながら読んでもらえたら嬉しい。私は編集者・ライターとして約20年、ファッション界と繋がり、仕事をしてきた。モードを、トレンドを、ストリートカルチャーを、つまりはファッションを心から愛して今にいたる。だからこそ、ファッション産業は今、大きく変わるべきだとひしひしと感じている。地球環境保護、サスティナビリティ、在庫処理問題に労働環境。改善して未来へ進むべき問題は山積み。ただでさえ、ブランドもアイテムもあふれている。そんな中で、どんなものを「かわいい」と感じて、どんな方法で提案するかが問われていると思う。この新しいプラットフォームのTHE SHEを始めるにあたり、プロデューサーのサチと共に決めたことはこんなことだ。在庫を極力抱えない・ブランドやアイテムの裏側にある物語を大切して伝える・作り手、売り手、買い手の全部が幸せになることを目指す・偏ってもいいから自分たちの「好き」にとことんこだわる、責任を持つ。理想論かもしれないが、理想は高く持たなくちゃ。
KkCoはTHE SHEの理念に賛同し、いきなりコラボしてくれることになった。
KkCoは2019年にL.Aにて、デザイナーのカラ・ジュビンが始めたブランド。カラは、NYのthe Art Institudeでファッションを学び、様々なブランドのデザインやコンサルタントを担当した後に、KkCoを立ち上げた。企画からデザイン、生産、発送までのすべてをL.A.のアトリエで行っている。アンチ・大量生産、アンチ・既存のファッションシステムと、独自の考えと手法で意志のある物作りをしているブランドだ。自分たちで手染めしたタイダイTシャツやスウェット、アウトドアのディテールを施したセットアップ、パワフルでガーリーなフリルドレスなどが人気だ。カラの周りには、新進気鋭のフォトグラファーやアーティストたちがたくさんいて、皆で実験的なコラボレーションを試みたり、単なるファッションブランドの枠を超えて、新しいクリエイティブのあり方を楽しみながら探し続けている。
「あなたたちの新しい試みは面白そうだし、方向性も似てるね。うん、いいよ、一緒に物作りしてみようか。」 猪突猛進、東京からいきなりL.A.のアトリエに押しかけたSACHI。実績ゼロ、熱意だけは無限大という、私がカラの立場なら慎重になりそうな(笑)、THE SHEの展望を興味深く聞いてくれ、なんと初っ端からエクスクルーシブアイテムを作ってくれた。それだけでもありがたいのだが、「好き」にこだわると決めた私たちである。「ここはもうちょっと丈を長く」、「ここの染め方、もう少し青の色、明るくしたいの、空の色みたいに。」、「ドット柄を2種類にして、素材はシアサッカーでね……」などと次から次へと細かく要望? 夢?をメールし続けた。「きーっ、うるせーっ、細いなーっ」と思っていたかもしれない(いや、多分、思ってたね)。それでもカラは最後までTHE SHEに寄り添い続けてくれ、コロナ禍にも負けず、根性とプロの技で、出荷をオープンに間に合わせてくれた。
夏にさらっと1枚で着られて涼しく着心地のいいワンピースや、羽織りものとしても使えるラップドレス。カジュアルに着こなせるシャツ。セットアップで楽しめる、サイドライン入りのパンツ。タイダイ染めのハット、青と水色をセットにしたソックスを作った。まず、どのアイテムも、自分たちが「好き」だと自信を持って言える。そしてもちろん、日本の街で、楽しんで着てもらえるものになったと思っている。
理念や思想を分かち合えるブランドを、日本で初めて紹介できることが嬉しい。着こなし方次第で自分らしく装えるアイテムに絞り、ECサイトでも比較的買いやすいサイズ感やフォルムにアレンジして、リリースできることが嬉しい。そうだ、私たち、こんな風にファッションを提案したかったんだ。どうか、多くの方々にこのKkCo×THE SHEのコラボアイテムを楽しんでもらえますように。
Text : Kaori Watanabe