THE SHE

MY LIFE, MY STORY

「私という物語」Vol.5 <ファーメンステーション>代表 酒井里奈

THE SHEのオリジナル美容アイテム、第一弾であるオーガニックの除菌ハンドスプレーを一緒に作ってもらったのが<ファーメンステーション>の酒井里奈さんだ。昨年度の発売にあたり、ハンドスプレーを作るに至った経緯、そして酒井さんが日本で初めてお米からエタノールを製造するまでの経緯は一度、THE SHEの記事にまとめた。詳しくはこちらから読んでみてほしい。

 

お米を発酵、蒸留してエタノールを製造する。その発想がもちろん素晴らしいけれど、実際に日本で初めて実現させて、商品化して世の中に出したことがなによりもすごい。THE SHEは0だったものを1にすること、つまりパイオニアという存在に対して、とてつもない尊敬の念を持っている。それは、私たち自身が常々、仕事をしていく上で、小さくてもいいから新しいことにトライするという目標を持っているからだ。聞けば、<ファーメンステーション>はお米のみならず、りんごやブドウ、芋など他の未利用資源からもエタノールを製造することに成功。ものづくりも会社もどんどんと進化している。今回は、改めて酒井さんの『循環型社会』への取り組みについて聞いた。

THE SHE まずはTHE SHEのオーガニックハンドスプレーについて。私たちも大満足の仕上がりでとても嬉しかったです。反響も大きく、たくさんの方に買っていただきました。

酒井 私も嬉しいです。パッケージもスタイリッシュで、自社製品とはまた違う仕上がりで、私たちも若者層から「見たよ!」と言ってもらえたり、ファッション商業施設からの問い合わせが来たりと新鮮な反応がありました。

THE SHE お米を使ったエタノール配合の除菌スプレーだから使い心地がサラサラ。ラベンダーとネロリの天然アロマ配合にしたのも正解でした。いつもバッグの中に入れて、手やマスクの内側にシュッ、デスクやキッチンに置いて、空間にシュッ。愛を込めて、THE SHEの”シュッシュ”と呼んでます(笑)

酒井 その使い方、正解です。自社製品で虫除けスプレーがあるのですが、マスクスプレーにも香水にもなるんですよーと紹介してます。

THE SHE オーガニックのエタノールだから、使い方はオールマイティ。使用後のヨガマットの除菌とか、車内のエアーフレッシュナーとか、お掃除の仕上げにも使ってるという声も届きましたよ。ところで酒井さん、お米だけじゃなくて他の未利用資源からのエタノール製造がどんどん進んでますね、すごい!

酒井 お会いしてない間に進化しましたよ〜(笑)。今年で事業を初めて12年。もともと、<ファーメンテーション>を作ったのはもう使われていない資源をなんとかしたいということから始まったんです。最初に向き合ったのがお米の問題。休耕田も多く、お米の様々な用途を探りたい、食べてもらう努力ももちろんするけれど、それだけでは限界があるという岩手の農家の人たちと組んで、第一弾として、石鹸を作って売ってみたんです。これが、事業の一本目の柱、自社ブランド。

THE SHE 原料ができれば化粧品など様々な製品に展開できますもんね。

酒井 そうです。原料自体を買いたいという化粧品メーカーも現れて。そこで初めてOEM(他社ブランドの製品を製造すること)という言葉を知ったくらいですけれど(笑)、 OEMを始めた。柱の2本目が原料を売ること、3本目がOEMと広がりました。

THE SHE 投げられた球を丁寧に打ち返していく感じ。戦略というより、実際に頭と手を動かしながら、与えられた課題をクリアしていくところが酒井さんらしい。

酒井 ヒーヒー言いながらね(笑)。必死でしたよ。その頃、世の中には「スタートアップ」という概念があり、自社以外の力やお金を使って事業を大きくする手法があるというのを知ったんです。女性起業家の勉強会に参加して、NYで研修を受けたりもしました。独自の発酵技術で未利用資源を再生・循環させることで社会を構築するという、うちの事業を自信を持ってプレゼンできるようになっていくと、それは面白いねと言ってくれる人が触れるんですね。世界を変えられる技術だからお金を出しますという人も現れて。

THE SHE その頃ですよね、リンゴの搾りかすからもエタノールが作れるようになったのは。

酒井 2018年にJR東日本から、リンゴのお酒、シードルを作っているんだけれど、搾りかすがたくさん出て、年間で20トンくらいゴミになっているのをどうにしかしたい。リンゴからエタノール作れますか?と話が来たんです。それをまたヒーヒー言いながら、なんとか頑張って実現して仕上がったのが「お米とりんごの除菌ウェットティッシュ」なんです。

THE SHE それが4本目の柱ですね? ゴミとして捨てられていた、未使用資源からエタノールを作る。<ファーメンステーション>=お米だったから、びっくりした覚えがあるけれど、これもまた外からのお題だったんだ。

酒井 そう。ずっとお米にフォーカスしてたけれど、自分たちの技術はお米以外にも使えるんだと。これはやっていて面白いです。さっきまでゴミだったのに、なんかアロマとして生まれ変わったよ! という感覚。ルームスプレーやディフーザーになりました。

THE SHE ゴミを極力減らすというサスティナビリティから一歩進んで、ゴミを新しく価値ある製品に変えていく。アップサイクルですね。

酒井 まさに、そうです。さっきのウェットティッシュシリーズは、また違う企業とタッグを組んでぶどう、芋と広がっていったんです。気象変動やコロナもあって、サスティナビリティが叫ばれるようになって。社会的課題に向き合う会社だと言い切って、この技術を役立てようと思っています。

THE SHE 例えば、自分がウェットティッシュを買うときに従来のものと、もともとゴミだったものが入っているものを比較すると、やっぱり今なら後者を選ぶかな。これからは、ますますそうなっていくと思います。

酒井 そうなっていけばいいですよね。ゴミでできているのっていいと思いません? 同じ機能なのに、未利用資源を使っているということが評価されるようになりたい。

THE SHE 使い心地だけじゃなくて、人の意識も変えていく取り組みですね。今、サスティナビリティは有象無象あるけれど、酒井さんの取り組みは、一貫して透明性があって分かりやすい。そして、わくわくするんですよね。それって大切なことだと思う。

酒井 作ろうと思えば、ありとあらゆる未利用資源を発酵して原料が作れるんです。ゴミから原料を作る会社だというくらいに認識してもらいたい。シャネルやエルメスの香水の中に一滴でもいいからうちの原料が入らないものかと、ひたすら考えています。

THE SHE すごく夢のある話! でもそうなってほしいな。実現したら、飛び上がって喜びますよ、私たち。

酒井 THE SHEとも次の展開へ進めていきたいですよね。

THE SHE 構想は出来上がっているから、また一緒にタッグを組んで、楽しくて意味のあるプロダクトを作っていきたいですね。これからもよろしくお願いします!

 

 

Text : Kaori Watanabe<FW>