babaco
日本人女性に似合うニットウエア
<babaco>
<babaco>は靴下ブランド<ANTIPAST>で靴下やテキスタイルを担当していた白石陽子さんが、2015年春夏シーズンからスタートした、東京発のニットブランド。白石さんが旅して収めた何気ないスナップや好きなアーティストの絵をパッケージにして、その中にある色で構成した3色ソックスで知られている、かもしれない。ソックスももちろんかわいい。履き心地もよくて色合いも絶妙。私もついつい毎シーズン買い足したり、大切な誰かにちょっとしたプレゼントとして贈ったりしている。でも、本当におすすめしたくて、知ってほしいのは日本人女性にぴったりのニットウエアだ。ありそうでなかった(←THE SHEの好きな言葉)、日本人女性のためのニットである理由を3つ挙げてみたい。
①絶妙にフェミニン、さり気なく女性らしく着こなせる。
デザイナーの白石さんは本当に可愛らしい大人の女性だ。カジュアルなパンツにスニーカーとかオーバーサイズのニットカーディガンなんかを着ているけれど、いつもその佇まいには、ほんのりと乙女心が潜んでいる。それは白石さんが作る<babaco>のコレクションに通ずるものがある。決して子供っぽくなく、これ見よがしではないけれど芯の通ったガーリー感をニット素材だけで表現する、それは白石さんにしかできないことだと思う。例えばクロップド丈のニットは、裾がほんのりと波打つようにデザインされているし、リブ素材のロングスカートは光沢のある編み糸で、深いスリットが入っている。発色のいいマルチストライプのセットアップには密かにピンクを忍ばせて、腕や鎖骨周りには透け感のある素材を選んでいる。どれもNOT SEXY, BUT FEMININE. このムードは日本人女性ならではの感性で、着る人にも街にもしっくりと馴染む。
②日本人の体型に合う、サイズ感の妙。
165センチ中肉中背、ガッシリ体型のKAORIも、160cm瘦せ型で全体的に薄めのSACHIも、155cmの小柄で適度に筋肉もあるスポーツ少女のERINAも、身に付けてまず皆が「なんか痩せて見える♡」と喜んだ。アイテムによって編み地、糸、首回りに腕周り、袖、裾と着て心地よくもスタイル良く見えるような工夫が最大限にされたシルエットだから、いつも着たくなる。そして着ていると嬉しくなる。ウエストが少し絞られたトップスならば、裾はヒップが半分隠れるほどの丈でバランスを取る。腰幅がそのまま出そうなスカートならスリットを入れたり、プリーツにして体の線が出すぎるのを防ぐ。そのどれもが絶妙。バストもヒップも薄めという女性ならほどよく女性らしいシルエットになるし、ボリューミィな女性ならすっきりと痩せて見える。そして小柄な女性も体が泳がずに着られる。これは<babaco>ならではの魔法だなと思わずにはいられない。このサイズ感の妙に関しては、一度じっくりと取材をしたいと思っている。
③日本の職人技術を取り入れた、こだわりのニット。
展示会で実際に手で触ってみて、着てみて、ディテールをじっくりと見て、SACHIが「白石さんってオタクだよね…」と密やかに興奮していたことを思い出す。ちなみにオタクというのは我々にとっては最高の褒め言葉で憧れ。<babaco>のニットはもしかしたら誰にも気づかれないような、小さな小さなこだわりをたくさん詰め込んでいる。それを叶えることができるのは日本ならではの綿密な職人技術があってこそなのだろう。派手でアイキャッチーなファッションが持て囃される昨今だけれど、私たちTHE SHEは一折りした時の袖口とか、首回りのリブの厚さと長さとか、座った時にロングスカートからチラ見えするソックスの色と素材とか、そういうニッチで小さなこだわりこそがおしゃれだと考えている。<babaco>は、そういう小さくて、でも大切なおしゃれの本質にも寄り添ってくれるブランドなのだ。
Text : Kaori Watanabe<FW>