THE SHE

diptyque

夕方5時と深夜1時の香り

 キャンドルやお香やルームスプレー、それからポプリ、ホワイトセージにパロサントともともと、部屋の中の”香りもの”が大好きなのだが、コロナによる緊急事態宣言が出て自宅か事務所に引きこもっていた頃から、特に香りを求めるようになったように思う。朝起きてセージに火をつけて、デスクに座ればシュッとスプレー一拭き。お茶を飲みながらキャンドルに火をつけたり、お花を飾ったり、バスオイルを入れたり。香りって私にとっては生活に不可欠なものなのだと改めて思った。
 というわけで長年、使い続けている<ディプティック>である。フレグランスキャンドルしかなかった時代からずっと愛用していて、多分、キャンドルなら50個は優に火をつけているはず。プレゼントを含めたらもっと多い数になる。春夏は「BAIES(べ)」、時々「FREESIA(フリージア)」。秋冬は「FIGUIER(フィギエ」、時々「SAINT GERMAIN・34(サン=ジェルマン・34)」が定番で、そこにふと出かけた先で出合った香りを足すようなイメージ。毎年、ホリデーシーズンにでる華やかなボトルデザインも楽しみで、使い終わったらそのまま花瓶として活用することもある。家の中のほっとできる香りを持ち歩きたくて、オードトワレやボディケア商品を同じ香りで揃えたこともあるし、「BAIES(べ)」に至っては練り香水も、持ち歩き用のロールオンのフレグランスオイルも、「Baies(べ)」をイメージした「ロンブル ダン ロー」という名の香りのディフューザーも全種類、持っているかも! 早い話がヘビーユーザーである。

 この原稿を書きながらパッと目につくだけで、棚の上、本棚の中に発見。他にもローテーブルに玄関、階段、トイレといたるところに置いてある。

 

 最近のお気に入りは「OTHONIEL ROSA(オトニエル・ロザ)」(キャンドル100g ¥8,000、オードトワレ100g ¥21,300)。最近と言いつつ、発売は今年の7月。リリースとサンプルでさくっと書いたり、パシャっと写真を撮ってインスタにアップしたりはできたのだけれど、思い入れのある愛用ブランドゆえ、生活にどっしりと根ざした「香りもの」であるゆえ、わがままを言って数ヶ月、しっかりと使わせてもらってから紹介したいと思い、今の今まで待ってもらった。ローズ自体の香り、私には少し甘すぎて実はあまり得意ではないのだが、この「ローズ オトニエル」にはピリピリッとペッパーが効いている。私にとっては、それが焚き火の後のような少しスモーキーなものが混ざるように感じる。温かくて少し湿った土の香りを吸い込んだ時の情景が浮かぶ。夏に発売されたものだけれど、その思い出を切なく引きずったり、懐かしんだりしながら秋に突入したようなイメージで、香りを介したセンチメンタルジャーニーには最適である(通じるだろうか…笑)。時間帯でいうなら、夕日が落ちる17時とか、街が寝静まった深夜1時が似合う。静かに自分の心の奥底にある気持ちと向き合う手助けをしてくれるような香りだ。

 <ディプティック>の新作で気になっているのが「プラグイン ディフューザー」(¥14,700)。その名の通り、プラグに差し込み電源を入れると、空気の力を利用して香りのカプセルに詰め込まれたフレグランスがじんわりと部屋の中に広がるというもの。ポーチに入れて出張や旅先に、いつもの香りを持っていくのもいい。世の中の<ディプティック>のイメージはきっとクラシックだったり、アナログなイメージがあるかもしれないが、こんな風に現代的なテクノロジーにもどんどん挑戦したり、新進気鋭のアーティストとコラボしたりと前衛的に進んで行くブランドの姿勢も好きだ。

 ホリデーシーズンに向けて、夢のような25日間のアドベントカレンダーは現在予約受付中。1年間の自分へのご褒美として、これは何としてでもほしいところである。

 

問い合わせ先/diptyque Japan 株式会社 03-6450-5735

Text : Kaori Watanabe