THE SHE

HADES

英国的なウィット感に富む、カーディガン&マフラー

今回は、THE SHEの2人がかつて暮らし、一生愛し、今、とても恋しい英国より、とびきりウィットに富んだニットブランド<HADES(ヘイディース)>の紹介です。

 

このニットブランドには英国らしさが詰め込まれている。伝統はしっかり守りつつ、遊び心を加えたい。ただ美しいだけでは終わりたくない、直球で可愛いだけはつまらない。どうせなら、くすりと笑えて楽しめるもの、個性的で強いものにしたいという精神が、天邪鬼な反骨精神が、アイテムの1枚、1枚にぎゅっと詰め込まれている。コロナのせいでまったくロンドンへ行けていないから、<HADES>のニットを見たらそのとびきりの英国らしさが懐かしくて、思わず抱きしめてしまったほどだ。

 

THE SHEはまず、2種類のカーディガンをセレクトした。

 

ひとつめは柄ものカーディガン。柄と言っても、見てください、「ナイフ&フォーク柄」と「ドライマティーニ柄」と「飛行機柄」。長きに渡り、編集者&ライターとして、ファッションアイテムについての原稿を書き続けてきたけれど、なかなか言及することのない柄の名前だ。というか、初めて書いたと思う。グラフィックな整列っぷり、ポップな色使いも相まって、着る人も見る人もついつい笑顔にするアイキャッチーなニットに仕上がっている。それでいて素材は100%天然繊維、ソフトて通気性のある生分解可能というこだわりっぷり。このバランスがまた英国らしさだ。デザイナーのキャシーはこのカーディガンを1771年創業のスコットランドのニット工場などと組んで作っているとのこと。職人さんたち、きっとびっくりしたんじゃないだろうか。そんな風に思いを馳せるのも楽しい。軽やかなフランネル素材、秋は1枚で、冬はニットやスウェットの下に着込んで色と柄をのぞかせるのもよさそう。

 

もう一種類のカーディガンは、シンプルなVネック。3Dプリントから作り出されたハンドクラフトボタンに注目してほしい。

 

 

凡庸性の高い黒ニットのボタンはまさかの女体、拳、貝殻、化石。シュールレアリズムのシンボル的なアイコンを選んだとのことで、思わずなぜだ?と笑ってしまう。インパクトのあるローズピンク色もアクセントとして最適。

 

同じ黒、そしてブルーグリーンのカーディガンにギリシャ神話の守護神たちが大集合したバージョンもある。ゼウス、アプロディーテ、メデューサ、アテナの神たちがカラフルな色で整列。着てみると可愛くて、とびきりシュール。

最後は簡素で小粋なメッセージを託したマフラー。上から「SUNDAY IN LONDON」←行きたい、過ごしたい、あのリラックスした空気感を感じたい! 「DANCING IN LONDON」←踊りたい、お酒飲めないけど。チャイナタウンで安い中華食べた後に皆で繰り出していた時間が懐かしい。 「ENGLISH COUNTRYSIDE」←行きたい、クロテッドクリームとジャムたっっぷりのスコーン食べたい、薄いミルクティをすすりながら本読みたい。英国好きにはたまらないメッセージにまた、心が躍る。配色もポップでアクセントになること、間違いなし。

 

いつ何時も、特に苦しい時にこそ、こういう遊び心を忘れない自分でいたい。そんな気持ちも込めてこの冬は<HADES>を着て、冬の街を闊歩したい。

 

 

 

 

 

Text : Kaori Watanabe