THE SHE

SHORT PANTS

女性が似合う、夏のショートパンツについて考えた。

暑い。口にしたくないけれど、暑い。まだ夏は始まったばかりで、8月はどうなってしまうのか。定番の<ACNE>のブラックデニムには、暦の上ではなく体感として、日本に秋が来る10月まではさよならを告げた。すまない、君が大好きだけれど、今は一緒にはいられない。また会うその日まで。夏の間はマキシ丈のワンピースでバッサバッサと風を切って歩いたり、ゆるゆるとリラックスできる涼しいサテンやキュプラのイージーパンツで逃げているが、長年、探しているものがある。

それは女性が似合う、夏のショートパンツだ。

 

私は、アウトドアブランドもスポーツブランドも大好き。例えば、コロナ前、夏の旅行に出かけるときはいつも大概<パタゴニア>で陸海兼用のショーパンを買っていた。街の中でも穿きたいのだけど、ウィメンズになるとなぜか丈が短くなる。メンズと同じ膝丈がいいのに、ウィメンズは大概、太ももが半分出る、完全なスポーツ仕様。プールに飛び込みたくなるワクワク感はあるが、さすがに街中でおしゃれなショーパンとして穿くのは難しい。<グラミチ>は理想的だけれど、腰張り族の私には残念ながら、似合わない。

私もSACHIもショーパンはあくまでボーイッシュに着こなしたい派だ。ショーパンだけど、足元はヒールで女っぽくすることには抵抗があり、ウエストをキュッと絞って太ももの張りを隠すキュロット型、つまりミニスカートに見えるけど、実はショーパンでしたというアイテムも手には取らない。それは世に言う「女性が似合うショーパン」だとは思うけれど、THE SHEは靴下とVANSに合わせたり、フラットサンダルを合わせたりして、あくまでボーイッシュに穿くことの方が好きだ。世の基準より、ここはTHE SHE基準を重視したい。


となると必然的にメンズとか、ユニセックスから探すことになる。男性の体型に合わせたものなのでなんだかお尻が大きく見えるとか、太ももの張りが目立つとか、ウエストの位置が下すぎるとか。わがままですみません。SACHIがよく「いつも潜在的に探している」というどこぞのスパイかと思うような言葉を使うのだが、その際たるアイテムがショーパンだと思う。道ですれ違う人、ショップ、旅行先、パソコン上。私たちは、いつも潜在的に女性が似合うショーパンを探し続けてきた。

そして、この夏、やっとこれだ!と思えるショーパンを2ブランドから見つけた。去年は探しきれずに敗北の夏を経て、今年もたったの2ブランドで形は2型しかない。でも、それでよい。ひとつは先週、入荷したばかりの<ル トラヴァイユール ガリス>。覚えにくいブランド名が玉に瑕?だけれど、フランスの老舗のワークウエアブランドだ。本物志向のモールスキン素材、産業革命時から愛用されていたこと、ボタンフライやメタルフックのディテール、工具を入れるためのツールポケットつき、動きやすさ重視のゆったりとしたシルエット。ああ、どこを取っても愛す。愛すべき項目の嵐である。トレンドに左右されず、夏が来るたびに穿けるスタンダードなデザインだ。

もうひとつはNYブランドの<COMING OF AGE>。ユニセックスだけれど、ウエストと太ももをすっきりと見せてくれて、膝が隠れる少し縦長のフォルム。ハリ感も強度もあるシルクタフタ素材で、ショーパンだけれどカジュアルになりすぎないところが魅力だ。2種類のギンガムチェックと、夏に思いっきり楽しみたい発色の良いライムの3種類。できることなら日替わりで着たいくらいだ。

今年の猛暑は、とっておきのショーパンで元気に、おしゃれに乗り切りきりたいと思う。

 

Text : Kaori Watanabe <FW>