THE SHE

ABOUT PANTS

”パンツ不遇時代”だからこそのパンツ

 いきなり、「そもそも論」から始まるが、そもそもTHE SHEはコートから靴までのすべてが揃うECショップではない。例えば、今はカシミアニットと靴下の気分だと思ったならそれを分厚く取り扱うし、極端な話、気がつけば、今シーズンってパジャマシャツと帽子と水筒しか買い付けなかった、なんてシーズンがあってもいいと思っている。買い物の仕方もおしゃれの仕方もどんどん細分化されている中で、なんでも揃うショップって果たして魅力的なのだろうか。それよりも「今、我々はこういう気分だから、このアイテムに的を絞っておるのです!」と明確に丁寧に紹介する店こそが今の時代にあった”セレクトショップ”なんじゃないかなと考えたりしている。
 そんな考えの中で昨年の6月にTHE SHEが始まって以来、ずーっとコロナなんです、世の中が。出勤が減り、対面での逢瀬が減り、家の中の時間が増える。今日はオンラインでしか打ち合わせしてないという日が当たり前になってくると、おざなりになるのがパンツです。綺麗な色のトップスは買うけど、まあ、パンツは手持ちのデニムでいいやというのが人の心情。実際に私だって、昨日のオンラインミーティング中、上半身こそニットにつけ襟を重ねておしゃれしたけれど、下半身は猫柄の赤いパジャマパンツのままで参加していたし!(自慢できることでなない……。)つまり、これがタイトルにした「パンツ不遇時代」である。リラックスして穿けるパンツしか欲しくない。黒とかグレーとか着瘦せしてみえる基本色を着回すので充分。あー、体を締め付けるとかダメダメ。季節問わずに穿ける1本があればいいよね? などと絞りまくっていたら、今、THE SHEのパンツは結構、少ない。その代り、「パンツ不遇時代」にも穿きたくなるパンツとして、太鼓判を押せるものばかりだ。次々とパンツを穿き替えて、いろんなところへ出かけたい気分だよね〜となる時を心待ちにしながら、改めて、今はこれでいいと思っている。

Photo : Yuka Uesawa Text : Kaori Watanabe