All-purpose tops
「縁の下の力持ち」トップスと、今日も。
先週、今週と<アップサイクルのロンTがよく売れている。買ってくださった皆様、ありがとうございます。11月の半ばにしてロンTが? と思われるかもしれないが、やはり便利なのである。季節がずれてきているとしか思えない、昨今の日本。11月も、私はロンTの上からスリップドレスを着て、薄手のコートくらいがちょうどいい。寒さが厳しくなってきたとしても、分厚いコートの下なら1枚でいいし、さらに季節が進めば、ニットの下のTシャツをロンTに変えればいい。なるほど、そう考えてみると、夏の終わりではなくて、意外にも11月こそロンTの買い時なのかもしれない。
さて、今回はこの<アップサイクル>のロンTを代表例とする「縁の下の力持ち」トップスの話をしたい。THE SHEの「縁の下の力持ち」トップスには3つの定義がある。
①どんなアウターやボトムにもマッチする万能力を持っていること。
②ガンガン着てもへこたれず、丈夫であること。
③着痩せして見えること。
この3つをクリアした、地味だけど、気がついたら週に何回も着ていた! というような便利なトップスを指す。色は多少の個人差はあれど、たいがい、白、黒、グレー。着こなしの主役というよりは引き立て役。野球選手に例えるならば、二塁を守る2番バッター。得点のためにはいい場面でいい送りバンドが必要ですよね? 打者のスライディングをものともせずに、ダブルプレーで仕留める守備が試合の勝敗を分けますよね?「縁の下の力持ち」アイテムはワードローブにおける2番バッターなのだ(つ、伝われ…)。
黒のニットやロンTならファストファッションで安くすませればいいという考え方もあるだろうが、それに対してははっきりと「否(いな)!」と言いたい。「縁の下の力持ち」トップスは着まわし力がある故に、アイテムによってはすぐにヨレヨレになる。シンプルであるが故に、生地や縫製が適当だと目立つ。合わせたボトムがどんなに美しい柄であったとしても、どんなに高級なブランドだとしても、どこか残念な着こなしになってしまう。
それでは、THE SHEが今年の冬に「これだ!」と自信を持って言える、推しの「縁の下の力持ち」トップスを紹介しよう。
¥4,900/THE SHE
リサイクルポリエステル60%、リサイクルコットン40%のサスティナブルなロンTは、とにかくさらりとした滑らかな生地感が心地よく、形がきれい。プロデューサーのサチは絶妙に生地が溜まる袖の長さが好きだとか。私は肩のコンパクトなサイジングと、腕まくりした時の袖部分のフォルムが好き。
右:カーディガンの下に着込んだ時のネック部分の見え方がよい。中:ドレスの下に着込めば、冬だってまだまだ夏のドレスを楽しめる。左:<エクストリーム カシミア>のカシミアTシャツに重ねた日。この首元のチラ見え感が絶妙。太すぎず、細すぎずの袖もよい。
<アップサイクル>のフーディ ダークグレー
¥14,000/THE SHE
スウェットフーディも毎冬、欲しくなる定番アイテムのひとつ。<アップサイクル>のフーディの魅力は生地の厚さ。分厚すぎず、薄すぎず、重ね着がしやすい。ドレスなどの上からはもちろん、ジャケットやブルゾンの下にも挟みやすいことから、「縁の下の力持ち」トップスに任命。
ボリューミィな<ライト>のナイトドレスの上に重ねても、すっきりと着られる。フーディの紐が太く長めで、そのまま垂らしたり、リボン結びをしたりのアレンジ次第で見え方が変わるのもいい。
<エクストリーム カシミア>のコンパクトプルオーバー ネイビー
¥35,000/THE SHE
<エクストリーム カシミア>のコンパクトプルオーバー グレー
¥35,000/THE SHE
<エクストリーム カシミア>のコンパクトプルオーバーは、買い付けているニットの中で最も体にフィットする。そのストレッチ力が心地よく絶妙なため、1枚ではもちろんのこと、シャツやブラウス、長袖ドレスのインナーに着込むことができるのが素晴らしい。夏だけのアイテムだとばかり思っていた、半袖のトップスやドレスを冬も楽しむための救世主だ。
右:<ライト>のダウンベストの下に1枚で。ジレはもちろん、例えばフリースベストのようなカジュアルなアイテムの下に着込んでも可愛い。私は長きに渡り愛用中であるアウトドアの名品、<モンベル>の半袖ダウンの下に着込む予定。もうそれだけで、どんなに寒い日が来ようとも、見た目は薄着だけど防寒対策は万全という着こなしが叶うから。左:<KkCo(ケーコ)>×THE SHEのラップドレスも、このアイテムにデニムの上から羽織って、冬まで続投。
GRP クルーネックニット ダークグレー
¥30,000/THE SHE
GRPモックネックニット ブラック
¥30,000/THE SHE
イタリアの老舗ニットメーカー<GRP>のニットは、もしかしたら「縁の下の力持ち」トップスの最骨頂と呼べるかもしれない。上質なメリノウールは着心地、抜群。アウターの下に着ても着膨れしない厚み、絶妙に体を華奢に見せてくれるフォルム。そしてフラットで他アイテムの邪魔をしない袖と裾。重ねた時、少しだけ個性を発揮する立体的なクルーネックやモックネック。手前味噌ではあるが、THE SHEのプロデューサー、サチはこの手の「なんてことないのに、ありそうでなかった」アイテムを探し出してくるのが本当にうまい。届いて試着した瞬間に、「これは使える、買う!」と即決したニットだ。
ドレスの下に重ねたら、こんな感じ。このニットを1枚で着ていると「痩せた?」と聞かれる頻度がかなり高いことも体感済み。花柄、チェック、ドット、ヒョウ、何と形容しがたいヘンテコな柄までどんな色柄のボトムと合わせても上品に仕上がる。その包容力たるや!
¥13,000/THE SHE
そして最後にドイツの老舗インナーウエアブランド<シーサー>。立体的なリブ素材は見た目もかわいく、なめらか。耐久性に優れていて、着れども着れども型崩れしないのが嬉しい。袖と襟のちょっとしたフリルのディテールが、着こなしにピリッとアクセントをもたらせてくれる。THE SHEでは黒、グレー、バーガンディの3色展開。
重ね着したときの主張具合が丁度いい。立体的なリブの美しさはもちろん、手の甲をほんのり隠してくれるほどの少し長めの袖が気に入っている。同系色のニットやスウェットの下に着込むのもおすすめだ。
時やトレンドが移ろえども、自身の好きなテイストやスタイルが変われども、いつ何時とも役に立ち、ワードローブの軸になる。そんな包容力のあるアイテムばかりだ。まずは1枚、今の気分に1番寄り添うものから選んでみてもらえたら嬉しい。
Text & Edit : Kaori Watanabe