THE SHE

DIARY /

6月28日(日)

 朝からTHE SHEの新商品のための撮影。カット数は多かったが、スムーズに進む。東北沢にあるスタジオで撮ったのだが、目の前に「千里眼」という人気のラーメン屋がある。今日も1日中、わらわらとたくさんの人が並んでいた。ラーメン好きのアシスタントえりちゃんと、カメラマンのイッチーが口を揃えてあそこは「マシマシ系ですよ」という。「二郎系ですよ」とも。つまりはトッピングをどんどん追加していくということ。「ラーメン二郎」の「インスパイア系」か? 違うのかも。 ラーメン好きの間ではおなじみのフレーズがいろいろとあるらしく、調べてみたら面白い。行列に並び、店内へ入って注文し、実際に口をつける瞬間を「着丼」というらしい。へー。例:今日は意外と人が少なかったので、着丼まで10分かからなかった。ほー。スープが切れそうになったときに継ぎ足すことは「追い炊き」。わはは。ああ、楽しい。
 スタジオに集合してみたら、プロデューサーのサチとTシャツがお揃いだった。かれこれ早15年くらいの付き合いになるが、好きなもののテイストが酷似しているため、よくある現象。それ持ってる! とか色違いさっき買った! とか、携帯ケースとキーホルダーのキャラクターがカブるとか。出張先で洗面所をシェアしてみたら、日焼け止めとシャンプーがまったく一緒とか。お土産に渡したヘアオイルを、数日前に彼女もお土産として友達にあげていたとか。いや、とにかくこんなエピソードは山のようにあるくらい、驚くほどカブる。THE SHEを一緒に始めてから気づいたのだが、当然、一緒に歩いているときに、街で目にする人の「お、あの人の格好、かわいいな」もほぼ同じ。サチがすごいのは、「ねえ、さっちゃん、あの人のさあ…」と私が話しかけたときには、もう横にいない。その人のところの側に行って「あの、それどこで買いました?」と聞いている。出張先のパリでも、何度もスススーと近寄り、にこやかに質問していた。「インドだよ」と言われてしょんぼりして帰ってくるとか。そして何日か後には調べ上げて買い付け先を見つけているとか。かわいいものへの飽くなき探究心。バイヤーってすごい。私も彼女もずっとずっとその時代に合う「かわいい」を探し続けてきた。私はどちらかというと編集者として「かわいい」の概念や哲学、その裏側にあるものや歴史、手にした時の人の感情、そしてそれをビジュアル化した先に見えるもの、言葉にして伝える方法などをつらつらと頭と心で考え続けてきたタイプだが、サチはバイヤーとして、「かわいい」をそれはもう直球ストレートに探してきて、ポンと目の前に置く。その説得力たるや。これまで感性は酷似しているがアプローチが全然違った2人が一緒にやるから、THE SHEはおもしろいんじゃないかと思う。手前味噌ではあるが。サチは私の自慢の親友であり、THE SHEの要なのである。