THE SHE

DIARY /

3月11日(木)

今年に入り、なんだか息つく暇なく忙しい日々。日記が遅れ始めているが…ちょっとずつ巻き返そう。放課後、バスに乗って仕事場まで来る娘が今から向かうよという報告とともに今日、学校で黙祷をしたと教えてくれた。ママも黙祷したよと返事をして娘を待つ間に、3.11に思いを馳せた。あの日、私は神保町の集英社にいた。4月から保育園入園が決まり、仕事復帰に向けて動き始めていた時で、娘を連れて、お世話になっている編集部へ挨拶に行った。生後4ヶ月の娘を抱っこヒモで抱っこして、わあ、連れてきてくれたの、とか、いやーさっさと保育園が決まったので、ぼちぼち働きますーとか、久しぶりに会う仕事仲間を前に「というわけで、復帰しま….」くらいで大きく揺れた。大きいね、あれ、長いね、あれ、大きいな!!!と言っているうちに、出版社だから棚や机の上にある本や雑誌、紙資料がどんどん倒れてきた。みんなが赤ん坊連れの私を優先してくれ、机の下に真っ先に入れてくれた。机の下に入りながら、胸の中にいる娘と目が合う。もしかして死ぬ? この命をどう守ればいい? と、とにかく頭だけがカッと熱くなった。テレビをつけて皆で呆然とした。よりによってこんな日に赤ん坊を連れてきてしまった私に皆、優しく、代わる代わる抱っこしてあやしてくれた。この日、娘の初節句を祝うために上京していた両親と、夫と渋谷で落ち合うため、意を決して、何人かと一緒に歩いて帰ることに。途中で授乳を2回したので、多分5時間弱歩いたはず。外苑前の銀杏並木あたりでカメラマンのつゆポンが車に乗せてくれて、ホッとしたのを覚えている。その後はもうひたすら、心配とストレスをためずに母乳を出すということに徹していた。あれから10年。あの日を境に日本はどんどん変わっていった気がする。ぎゅうっと蓋をして見て見ないふりをしていた事柄がどんどん明るみに出たのではないだろうか。悲観しすぎずに、でもおかしいことにはしっかり怒って、とにかく元気に働き、社会と繋がっていこうと思う。娘は10歳になった。